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訪問診療クリニックの「承継価格」はどう決まる?

27/7/2025

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〜相場は?評価方法は?専門家が解説〜
「自分のクリニックは、いくらくらいで引き継いでもらえるのか?」
「赤字でも承継はできるのか?」

訪問診療クリニックの先生方から、最もよくいただくご質問のひとつが**「承継価格(評価額)の考え方」**です。
一般的な企業のM&Aとは異なり、医療機関、とりわけ訪問診療クリニックは**“無形資産の価値”が非常に大きい**分野です。この記事では、専門家の実務に基づき、訪問診療の承継における価格の決まり方と注意点を詳しく解説します。

1. 訪問診療クリニックの承継価格に“相場”はあるのか?
結論から言えば、明確な相場は存在しません。なぜなら、同じ「訪問診療クリニック」でも、地域性・訪問件数・医師数・連携体制・レセプト構成などによって価値が大きく異なるためです。
とはいえ、実務的にはある程度の目安として以下のような算出方法が用いられています。

2. 主な評価方法(3つの視点)
(1)実績ベース:営業利益 × 複数年係数
  • 過去1〜3年の年間営業利益(税引前)をベースに、1〜3年分を掛ける
  • 例:年間利益1,000万円 × 3年分 → 3,000万円程度の評価
※ただし、訪問診療では「収益力よりも患者継続性・人材」が重視されるため、この方式だけで決まることは少ないです。

(2)患者基盤・訪問件数ベース訪問診療では、「定期的な訪問患者数」や「月間訪問件数」が価値に直結します。
  • 月間訪問件数 × 訪問1件あたりのレセプト収益
  • 看取り件数や特定疾患患者の構成によって加点評価
 実務ポイント
特に在支診(在宅療養支援診療所)として認定を受けている場合、施設基準・看取り実績などが評価対象になります。


(3)“再現性”と“地域性”
  • 医師・スタッフ・連携事業所が継続可能か
  • 地域の医療ニーズが今後も続くか
  • 不在時対応・緊急往診体制の維持可能性
例:都市部であっても、患者が“個人医師の信頼”で集まっている場合、医師交代で大きく患者離脱が起きるリスクがあり、価格は下がる傾向があります。

3. 実際の承継価格レンジの一例(実務データに基づく)
患者数/  医師数/     スタッフ体制/   承継価格(目安)
約80名/  1名/       看護1・事務1/   約800万〜2,000万円
約120名/  常勤1名/非常勤1 看護2・事務2/   約2,000万〜3,000万円
約180名/  常勤2名/    看護3・事務2/      約3,000万円〜8,000万円

※上記は実際のM&A案件に基づいた参考レンジであり、医師交代リスクや地域特性、物件・設備状況により上下します。

4. 数字だけで判断できない“無形価値”の評価
訪問診療クリニックの評価で重要なのは、「無形の資産をどう可視化し、買い手に伝えるか」です。
  • 長年培った地域医療ネットワーク
  • 在宅看取り実績による信頼性
  • 地域包括支援センターとの連携体制
  • 介護施設・訪問看護・ケアマネとの強固な協力関係
  • 24時間対応実績・緊急対応体制
これらは帳簿上には現れませんが、承継後に継続すれば大きな収益基盤となる資産です。

裏技的ポイント:
これらの情報を事前に整理し、「資産価値」として説明できる資料を作成しておくことで、承継価格は大きく上がる可能性があります。


5. 医療法人 or 個人クリニックで評価が変わる?
はい、承継スキームによって評価対象も変わります。
医療法人/個人クリニックの違い
・医療法人の承継(株式または出資持分)
法人単位での承継
全資産・契約・許認可が維持されやすい

・個人クリニックの承継(事業引継ぎ)
許認可や契約の再構築が必要
無形資産・スタッフ継続性が重視されやすい


医療法人の方が手続きは複雑ですが、包括的な引き継ぎが可能で、スタッフ雇用・契約継続・レセプト請求も安定しやすくなります。

6. 買い手が価格を評価する際に重視する“3つの視点
① 医師体制は維持できるか?
→ 常勤・非常勤医師の継続有無/引き継ぎ期間の長さ
② スタッフは定着するか?
→ 看護師・事務スタッフの引き継ぎ意思/労働条件
③ レセプト・患者構成は安定しているか?
→ 偏りがなく、施設訪問・在宅バランスが良いか
これらは「継続して安定経営ができるか」を判断する大きな材料となるため、数値化して説明できる資料があると評価は上がります。

まとめ:価格は“作られる”もの。数字と情報の整理がカギ
訪問診療クリニックの承継価格は、帳簿上の利益だけで決まりません。
むしろ、「どんな価値を次の担い手に渡せるか」を明確にすることで、評価は大きく上がります。
  • 数字(訪問件数、レセプト、利益など)を整理する
  • 無形価値(ネットワーク・体制)を資料化する
  • 医療専門のアドバイザーに相談し、評価を客観化する
これらを行うことで、納得感のある承継価格でのマッチングが可能となります。

▶️ ご自身のクリニックの承継可能性・評価を知りたい方へ当サイトでは、訪問診療に特化した承継支援を行っています。
「自院の評価がどのくらいなのか」や「引き継ぎできる状態かどうか」など、お気軽にご相談ください。


関連リンク・資料
  • 厚労省 在宅医療・訪問診療関連資料 https://www.mhlw.go.jp/
  • 日本医師会 承継支援ガイド https://www.med.or.jp/
  • 医療機関M&A実務レポート(中小企業庁) https://www.chusho.meti.go.jp/​
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