〜個人情報保護法と現場対応のポイント〜
訪問診療クリニックを承継する際に、最もデリケートで見落とされがちな論点が「患者情報の取り扱い」です。
特に訪問診療では、住所・疾患・生活状況・看取り希望など、センシティブな情報を多く扱うため、適切な引き継ぎがされないと法的・倫理的リスクが生じます。 本記事では、患者情報の承継時に気を付けるべき法律・ガイドライン、現場での対応策についてわかりやすく解説します。 【1. 患者情報は“資産”であり、“個人情報”でもある】 訪問診療における患者情報とは、単なるカルテだけではありません。 【対象に含まれるもの】
【2. 法的な根拠:個人情報保護法・医師法の観点】 訪問診療の承継時に問題となるのは、主に以下の2つの法律です。 【個人情報保護法】
引き継ぎにあたって「患者の診療継続が目的である」「不特定多数に提供されるものではない」と明示することで、実務上の承継は可能になります。 【3. 引き継ぎ方法(電子カルテ・紙カルテ・訪問記録)】 (1)電子カルテ
【4. 実務対応:患者・家族への同意取得がベスト】 法律上は明示的な「同意」が不要とされるケースもありますが、患者や家族からの信頼関係を維持するために“同意取得”を行うのがベストです。 【実務で使える方法】
特に介護施設・看取り対象者・認知症患者など、第三者との関係性が深いケースでは、関係者への情報共有と丁寧な説明が不可欠です。 【5. 情報引き継ぎで“やってはいけない”NG行為】
【6. 承継契約書に記載すべき「個人情報の取り扱い条項」】 患者情報の取り扱いは、承継契約書の中に明確に条項として盛り込む必要があります。 【記載例(概要)】 ・承継対象に含まれる患者情報の範囲 ・情報の使用目的(診療継続に限る) ・情報漏洩防止の義務 ・不必要となった情報の破棄・削除義務 ・退職者・第三者への再提供の禁止 ✅ 補足: 弁護士・医療M&Aコンサルタントと連携し、法的に有効で現実的な契約書文言を作成することが重要です。 【まとめ】 訪問診療の承継では、「患者情報」の取り扱いが最大のセンシティブ領域です。 ・情報は“資産”であり“守るべき個人情報”でもある ・継続診療の目的であれば、引き継ぎは可能 ・患者・家族への事前説明と丁寧な対応が信頼につながる ・情報漏洩リスクを防ぐため、実務と契約の両面から備える これらを適切に対応することで、患者とスタッフの安心を守りながら、スムーズな承継を実現することができます。 【▶ 患者情報の引き継ぎについて不安がある方へ】 当サイトでは、個人情報保護を重視した承継の進め方や、引き継ぎ資料の整備サポートを無料で行っています。 お気軽にLINEまたはフォームからご相談ください。 >LINEでのご相談はこちら >お問い合わせフォームはこちら
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