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訪問診療の承継で“患者情報”はどう引き継ぐ?

29/7/2025

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〜個人情報保護法と現場対応のポイント〜

訪問診療クリニックを承継する際に、最もデリケートで見落とされがちな論点が「患者情報の取り扱い」です。
特に訪問診療では、住所・疾患・生活状況・看取り希望など、センシティブな情報を多く扱うため、適切な引き継ぎがされないと法的・倫理的リスクが生じます。

本記事では、患者情報の承継時に気を付けるべき法律・ガイドライン、現場での対応策についてわかりやすく解説します。

【1. 患者情報は“資産”であり、“個人情報”でもある】
訪問診療における患者情報とは、単なるカルテだけではありません。
【対象に含まれるもの】
  • 電子カルテ・紙カルテ(診療記録・訪問記録)
  • レセプトデータ・服薬履歴・ADL評価表
  • 家族構成や生活状況、看取り希望
  • 写真・動画・音声メモ
  • 施設やケアマネとの連絡記録
これらは医療機関にとって「資産価値」のある情報である一方、個人情報保護法上の“要配慮個人情報”にも該当し、取り扱いには厳格な管理が求められます。

【2. 法的な根拠:個人情報保護法・医師法の観点】
訪問診療の承継時に問題となるのは、主に以下の2つの法律です。
【個人情報保護法】
  • 原則として、本人の同意なく第三者提供(承継含む)してはならない
  • ただし、医療機関同士の事業承継で、かつ目的が「継続診療」の場合は例外的に許容されるケースあり(法第23条)
【医師法・医療法】
  • 医師には診療録の保存義務(5年間)と、守秘義務がある
  • 管理者変更時は、原則として患者の診療継続を目的とする情報提供は可能
✅ ポイント:
引き継ぎにあたって「患者の診療継続が目的である」「不特定多数に提供されるものではない」と明示することで、実務上の承継は可能になります。


【3. 引き継ぎ方法(電子カルテ・紙カルテ・訪問記録)】
(1)電子カルテ
  • 同一ソフトを使用する場合:サーバー・クラウド移行で引き継ぎが可能
  • 異なるソフト間の場合:CSV形式で患者一覧/訪問記録をエクスポートし、再入力(人手を要する)
(2)紙カルテ
  • 保存義務5年を踏まえた保管引き継ぎが必要
  • 引き継ぎ法人が保管業務を担うか、院長個人が保管責任を継続するか明確化
(3)訪問記録・写真・メモ等
  • プライベートな内容が多いため、承継側に必要性と取り扱い方針の確認が必要
  • 不要な情報は廃棄対象とする判断も含め、双方で協議を行うことが望ましい

【4. 実務対応:患者・家族への同意取得がベスト】
法律上は明示的な「同意」が不要とされるケースもありますが、患者や家族からの信頼関係を維持するために“同意取得”を行うのがベストです。
【実務で使える方法】
  • 引き継ぎ案内文を作成し、患者・家族に配布
  • 「今後は〇〇先生が訪問診療を継続します」などの説明を添える
  • 同意書までは不要でも、「診療継続に同意されたとみなせる記録」を残す
✅ 注意点:
特に介護施設・看取り対象者・認知症患者など、第三者との関係性が深いケースでは、関係者への情報共有と丁寧な説明が不可欠です。


【5. 情報引き継ぎで“やってはいけない”NG行為】
  • ExcelやPDFをメール添付で無暗に送る
  • 退職スタッフがデータを持ち出す
  • 管理医師の不在中に情報を移動・転送する
これらは個人情報漏洩とみなされる可能性があり、医療法人・医師としての責任を問われる重大なリスクです。

【6. 承継契約書に記載すべき「個人情報の取り扱い条項」】
患者情報の取り扱いは、承継契約書の中に明確に条項として盛り込む必要があります。
【記載例(概要)】
・承継対象に含まれる患者情報の範囲
・情報の使用目的(診療継続に限る)
・情報漏洩防止の義務
・不必要となった情報の破棄・削除義務
・退職者・第三者への再提供の禁止

✅ 補足:
弁護士・医療M&Aコンサルタントと連携し、法的に有効で現実的な契約書文言を作成することが重要です。


【まとめ】
訪問診療の承継では、「患者情報」の取り扱いが最大のセンシティブ領域です。
・情報は“資産”であり“守るべき個人情報”でもある
・継続診療の目的であれば、引き継ぎは可能
・患者・家族への事前説明と丁寧な対応が信頼につながる
・情報漏洩リスクを防ぐため、実務と契約の両面から備える

これらを適切に対応することで、患者とスタッフの安心を守りながら、スムーズな承継を実現することができます。

【▶ 患者情報の引き継ぎについて不安がある方へ】
当サイトでは、個人情報保護を重視した承継の進め方や、引き継ぎ資料の整備サポートを無料で行っています。
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【関連リンク】
  • 総務省:個人情報保護法ガイド https://www.ppc.go.jp/
  • 厚労省:医療情報の取り扱いに関するガイドライン https://www.mhlw.go.jp/
  • 日本医師会:電子カルテ・情報引き継ぎ指針 https://www.med.or.jp/
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