〜承継前に知っておきたい制度と役割の基本〜
「訪問診療と在宅医療って同じじゃないの?」 「承継の話をしたら、行政から“定義を整理してください”と言われた…」 このような混乱は、訪問診療クリニックの承継においてよく起こる現象です。 医療・介護・行政の現場では、“訪問診療”と“在宅医療”は似て非なるものとして扱われており、これらの違いを理解していないと、承継時にトラブルや行政手続き上の遅延が生じる可能性があります。 この記事では、これから承継を検討される医師や法人向けに、「在宅医療」と「訪問診療」の違いと、それぞれの制度的な位置づけ、承継における注意点をわかりやすく解説します。 1. 定義の違い:「在宅医療」は“包括概念” まずは用語の定義を明確にしましょう。 在宅医療 患者の自宅や施設において行うすべての医療行為の総称。医師による訪問診療だけでなく、訪問看護、訪問薬剤管理指導、リハビリ等も含む。 訪問診療 在宅医療の中で、医師が計画的かつ継続的に患者宅を訪問して診療を行う行為(医療保険に基づく)。 つまり、訪問診療は“在宅医療の一部”であり、「医師による定期的な診療行為」を指します。 ✅ ポイント: 「在宅医療をやっています」と言ったときに、相手が看護師・ケアマネ・行政職員か医師かで、意味の捉え方が異なる可能性があるため、承継時には“訪問診療としての承継”であることを明示しましょう。 2. 診療形態の違い:「往診」と「訪問診療」 さらに混同されやすいのが、「訪問診療」と「往診」の違いです。 訪問診療 計画的・定期的に患者宅へ訪問する医療行為医療保険上、訪問診療料・在宅時医学総合管理料(在医総管)などが算定される 往診 患者または家族からの要請によって臨時的に医師が訪問する行為保険上は「往診料」などが算定され、定期性は不要 ✅ 承継時の注意: 引き継ぐ患者の多くが「往診中心」か「訪問診療中心」かによって、点数構成や引き継ぎスキームの設計が大きく異なります。必ず事前に把握しておく必要があります。 3. 診療所の指定制度:在宅療養支援診療所(在支診) 訪問診療クリニックの多くは、在宅療養支援診療所(在支診)として厚生局に届け出を行っています。 これは、在宅医療の充実を図るために国が設けた制度で、以下のような要件があります。
✅ 承継時のポイント: 在支診の指定は承継後も自動的に引き継がれるとは限りません。 スタッフ体制や実績が要件を満たさなければ、再届け出または取消となる可能性があるため、専門家の確認が必要です。 4. 承継における行政手続き上の落とし穴 承継時には、以下のような誤解・手続き漏れが発生することがあります。 「在宅医療=訪問診療」だと思っていた →保険点数・届け出・役割が異なるため、書類の不備につながる 医療法人の承継で在支診が自動引き継がれると誤認 →実績や体制が変われば再審査が必要になる 往診中心の診療所だが、訪問診療の承継として手続き →診療実態との乖離により点数減額リスク こうしたリスクを避けるには、引き継ぐ診療内容の正確な把握と、保険者・行政との事前協議が重要です。 5. スタッフ・他職種との連携範囲の違い 在宅医療では、医師単独ではなく、看護師・薬剤師・リハビリ職・ケアマネージャーなど多職種と連携することが求められます。 承継を成功させるためには、以下の点を事前に確認しておくとスムーズです。
「前任医の信頼関係が地域に根づいていたことが、承継後の患者継続に大きく貢献した」 まとめ:用語と制度の理解が、スムーズな承継の第一歩 「訪問診療」と「在宅医療」は、似ているようで制度・役割・届け出の面で大きく異なります。 承継を円滑に進めるためには:
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